ロデオの基本的なショベルメンテナンス ガイド

完成時の納車前には、実車両でキックの方法などからナラシ方法、様々なトラブルシューティング例や、整備時の注意事項などを事前講習として更に詳しくご説明しております。

標準プラグ <CHAMPION RN12YC>

指定プラグ : CHAMPION (シャンピオン) RN12YC (購入かこちら)

メーカー : Champion製
品番: RN12YC
適用プラグレンチ:  13/16″  もしくは 21MM
OEM番号 : 32342-04 (5R6A)

特にナラシの初期はカブらせてしまうケースが見られます。 始動不良、点火不良の症状がみられたらまずは新しいプラグへ交換してみてください。 
常にプラグレンチ、スペアプラグ2本、ワイヤーブラシを携行する事はショベル乗りの基本です。 必ずツールバックにはそれらを用意してお出掛けください。

 

SUキャブレター

SUキャブ アイドリングスクリュー(スロー、アイドリング調整)
※年式により使用キャブレターは異なります。

アイドリングは始動/走行時と適宜調整してください。

ティックラ-ポンプ (始動時にガソリンを送ります。)

この作業でガソリンを押し上げます。 始動時に掛かりにくい場合のほとんどがガソリン不足に寄ります。空キック前に必ずこのポンプ(緑丸マル印)でガソリンを送り込むようにしてください。手動で上下に動かしポンピングをしてください。ガソリンがキャブレター上部へ上がり、気化し易くなる為、エンジンが掛かりやすくなります。

ピストンのリフトピン
(キャブ内のピストンを押し上げます。)

ティッククラーポンプでガソリンをフロート室より押し上げた後、このリフトピン(緑丸マル印)で内部のピストンを上下させることによりさらにガソリンがマニホード側へ送り込まれます。

SUキャブ ミクスチャー アジャスト スクリュー
(油面が変わりますので普段は調整不要です。)

ギャブ右側にあるのがミクスチャーアジャストスクリュー(赤丸マル印)です。出荷時にはメインニードル、ミクスチャー等は日本仕様に変更、調整してあります。通常は触る必要はありません。参考として、スクリューを時計周りに回すことによってフロート位置が下がり、結果的にガソリンは濃くなります。時計の反対周りに回すとガソリンは薄くなります。一般的に言われる「3回転半戻し」では無い場合がほとんどです。調整前には自車のスクリュー回転数を把握してから(元に戻せる様に)調整してください。

SUキャブ キャブマニホールド
(このゴムバンドが切れると2次エアーを吸込み不調を起こします。)

キャブマニホールド エンジン真上部からの写真です。フロント、リヤと二股に別れたマニホールド。それぞれマニホールドラバー(ゴム)がバンドによって押さえられています。エンジン本体の振動によりゴムの部分(写真では見えません)に亀裂が出来て2次エアーを吸ってしまう場合があります。「パン!パン!」とミスファイヤーを起こす場合やアイドリングが不安定な場合にこのマニホールドラバーが切れている場合があります。定期的なチェックをお奨めします

SUのドーム先端にある「プラステック ドーム キャップ」

メンテナンスとして雨天走行後やキャブ内部のピストンの動きが悪くなった場合、この黒いプラスチック製のドームキャプを外し中の部品へシリコングリスを少々塗布します。ピストンが抵抗なくスムーズに動かなければなりません。雨天走行時キャブ内に水分が混入しピストンとドーム壁内側に乳化したガソリンが残りピストンの動きを妨げる場合があります。その場合はキャブレター上部のピストンを外し、キャブクリーナー等で洗浄してください

SUのチョークカムレバー チョーク オン時

チョークスロットルのリンケージを押し上げる事で内部のスロットルディスクが開きチョークがオンとなります。

SUのチョークカムレバー オフ時

アクセルを少しでも開けると自動でオフとなる構造です。暖気の為にチョークをオンにしておきたい場合はスロットルは触らないで暖機できるまで待ちましょう。

SU の底面を外すとフロート室が有ります。

SUキャブのフロート油面調整 規定のミクスチャー調整を行ってもキャブがばらつく場合はフロートの油面基準を確認します。
底面ボトムケースの4つのネジを緩め取り外します。キャブを上下逆さにすると写真の状態となります。定規を写真のフロートセンター位置にあてます。フロートと定規の接点が丁度赤○印しの所で自然に接触する位置がにフロート基準レベル点です。低くても高くても基準点とはなりませんのでその場合フロートに付いている真鍮製のブラケットを曲げて位置を合わせます。作業は以上です。当社の車両は初期設定を確認しておりますので無暗にフロートに触らないで下さい。

 KEIHIN CV ケイヒンキャブレター

 CVキャブの アイドル調整スクリュウ 写真奥中央の+ネジ

Clutch クラッチ

マウストラップ と ケーブルアジャスター クラッチが遠くなり切れにくくなった場合は、調整が必要です。ケーブルの遊びを減らす事によってクラッチは近くなりますので切れにくい場合は有効です。

クラッチアジャスターボルト/スプリングナット

ケーブルの遊びで調整しきれない場合は、クラッチシェル側のアジャストスクリュー(赤丸マル印)で調整します。まず クラッチ中心部にあるロックナット(赤丸マル印)を緩めます。センターのアジャスタースクリューを少しづづ締め込みクラッチの切れ具合を確認します。切れない場合はさらに繰り返します。ロックナットを締めて完了。ただし、閉めすぎるとアジャスターボルト、キッカーカバー側のスローアウトシャフト、ベアリング、クラッチリリースフィンガーの破損に繋がるので調整の際には過度の締め込みに注意してください。スクリューを締め込み奥に当たった感じが解ればそこから半回転程戻して(この分が遊びとなる)ロックするのがコツです。(特にロッカークラッチの人は注意です。)

プレッシャープレートの調整
スプリングナット(緑丸マル印)はクラッチアジャスタースクリューを中心に周りに5つあります。スプリングナットで押さえている一番外側のプレートがプレッシャープレートです。このプレッシャープレートはクラッチスプリングを押さえるのと同時に均一なクラッチスプリング圧をクラッチ板へ伝える役目があります。プレッシャープレート(一番外側のプレート)のエッジからリリースディスク(2番目に見えるアルミ製のプレート)までの距離が20mm以下になるまでスプリングナット締め込むとクラッチは切れなくなります。
クラッチを切った場合た状態では、リリースディスク(2番目に見えるアルミ製のプレート)とフリクションディスク(最初のクラッチ板)の隙間は2.0mm-3.0mmでプレート全体が水平かつ均一にクラッチ板を押すように5個のスプリングナットで調整します。

ジャッタが出る場合
このプレッシャープレートの調整でジャッタが止まらない場合はスティールディスク/フリクションディスクとシェル内側の点検、調整が必要です。

ブルーテのクラッチアジャスターボルト

ブルーテのクラッチアジャスターボルト調整も上記と同様です。 ブルーテはダイヤフラム式クラッチの為、クラッチ圧も軽く、またクラッチ板へ均等なスプリング圧が掛かる優れた仕組みとなっています。ジャッタが出にくくメンテナンスも少ない回数で済むのも特徴です

OIL エンジンオイル

エンジンオイルの交換は2000kmから3000kmを目安で行ってください。 オイルには堅さのグレードが有りますのでエンジンによって適正な指定オイルを使用してください。 オイル交換をする場合、長期間放置した状態ではオイルタンク内のオイルはクランクケースへ下がっています、エンジンをしばらく掛けてからオイル交換をしてください。

アルミ樽型オイルタンクのオイル入れ (1quartは0.946 リットル)

オイルタンク容量は4.0quart(3.784リットル)。完全なドライ状態の場合に使用するオイル量は3.0quart(2.838リットル)。通常のオイル交換でオイルタンク内のオイルを抜いて交換する場合の必要量は2.5quart(2.365リットル)。オイルの種類は標準でシングルグレードSAE 50,夏場やパン等堅めのオイルが必要なエンジンにはSAE 60,やSAE70 と数種類固さのグレードがあります。(注意:セルスターター用バレルタンクの容量は上記より少なくなります。) 交換するオイル量は残オイル量によって変わりますので適宜確認してください。

ラップアラウンドのオイルタンクオイル入口

オイルタンク ドレンボルト(赤)と「送り側オイルホース」(緑)

オイルタンク内のオイルを抜く場合は「送り」側のオイルホースクランプ緩めホース自体(オイルタンク真下6時の位置からオイルポンプに出ているホースの事)を外すかオイルタンク真下のドレンボルトから抜き取ります。

オイル交換時にはオイルスクリーンフィルターの清掃が必ず必要ですのでフィルターの清掃作業も同時に行って下さい。

このネジ(フィルタープラグ:)を外すと中ならスプリングに押さえられているオイルスクリーンという細い網状のフィルターが出てきます。オイルが循環する時にこれがフィルターの役目をしています。オイル交換時毎には必ず清掃してください。

JIMSの特殊工具ソケット

フィルターボルト自体を外すには特殊工具のソケットが必要です。小さい普通のマイナスドライバーでは簡単に外せません。

オイルスクリーンフィルター

オイル交換時は、毎回必ずこのスクリーンフィルターの清掃を実施してください。    オイルスクリーンは通常のオイル交換時は清掃のみで部品を交換する必要はありません

 

OILトランスミッションオイル

トランスミッションオイルの交換時期もエンジンオイルと同様です。また激しい雨天を走行した場合、トップカバー上部にあるエアー抜きのピンホールから水が内部に侵入する場合があります。オイルが乳化していないか(水が入り白く濁る)確認し、乳白色に少しでもなっている場合は要交換です。

トランスミッションキックカバー側オイル入れ口  使用するオイルはTrans Oil Revtech SAE-80W90が標準です。夏場にはTrans Oil Revtech SAE-85W140 と堅目のオイルもあります。 オイル交換時の使用量は残量に大きく影響されるため下記を参照してください。

トランスミッション 油面 チェックボルト  オイル量チェック用の油面チェックボルト。このチェックボルトの位置が正しいミッションオイルの油面となります。少なくても多すぎても問題があります。多すぎる場合はこのチェックボルトからオイルを抜いて油面を調整してください。
注意: この作業は必ず車両を正立状態にして行ってください。(キックカバーによってはチェックホールが無いタイプもあります) オイル量が多い場合、クラッチ側のメインシャフトのオイルシールや、トップカバーのエアー抜きボルトからオイルが漏れて来ますので適正量以上のオイルを入れないでください。

トランスミッション ドレンボルト キック側 下部  ここも締め付けトルク注意です。過去ねじ切ってしまった方もおります。自信のない人は必ずトルクレンチを使いましょう。

 

フライホイールの上死点(TDC)マークについて

■フライホイールのマークについて タイミングマークには3種類の刻印があります.
1)「R |」 リヤシリンダーのTDC35°前を表す
2) 「F |」 フロントシリンダーのTDC35°前を表す
3)「T:F」 上死点 (Front Cylinder TDC) 点火タイミングを合わせる場合はこの「T:F」マークがタイミングホールから見える状態でポイントを合わせます。
この状態でポイントギャップクリアランスが「約0.5mm」開く 状態が正常となります。

注意:古い年式の車両では「●」「|」のみとマークが異なるフライホイールが有ますのでご注意ください。この場合は「|」がTDCとなります。

ポイント調整時、ポイントプレートを左回転すると点火時期は遅くなり右回転すると早くなります。

症状例:
早すぎる場合—出力低下、ノッキング、ケッチンが起きやすい
遅すぎる場合—回転がもたつく、エキゾーストの異常加熱等

 点火タイミングの調整、ポイント、ギャップ調整、コンデンサー交換方法等

現在のロデオモーターサイクルはトランジスタ式イグニッション仕様をメインとしています。 車種、年式によりフルトラ仕様、ポイント仕様とありますのでご自分の仕様に適合した内容を確認してください。

カムカバーを外すと、この中に点火システムがあります。

ポイント仕様の場合の調整は基本的に2つの作業があります。1つはポイントプレートを動かし点火タイミングを合わせる事。2つ目はポイント自体のギャップのクリアランス調整です。出荷時は調整済みですのでさわらないで下さい。

(※フルトラ、セミトラ仕様のモデルでは初期設定を変更する必要は通常ありません。)

まずポイントカバーを外すと写真のポイントが見えます。さらに3時と6時の位置にあるマウントスタッド(緑色マル印)を緩めるとポイントプレートを動かすことが出来ます。プレートを時計周りに動かすと点火タイミングは早くなり、時計の逆回りでタイミングは遅くなります。写真ではプレートの7時の位置に三角形状の隙間(赤色マル印)がありますがここにマイナスドライバーを差し込み少しづつ動かし調整します。少しでもプレートが動けばタイミングは変化しエンジンフィーリングに大きく影響します。適正ゾーンからタイミングが外れた場合、エンジンの始動は不可能となります。タイミングを変更する場合は必ずアイマークをマジック等で印し、元の位置に戻せる状況を作ってから作業に入ってください。

アドバンスユニットのカム山は一番細いカム山で合わせます。

ポイントギャップ調整 

タイミング調整が出来たら次はキャップ調整です。(赤丸マル印)のポイントのロックナットを緩めることでポイントを動かす事が出来ます。まずポイントとカムの接点であるヒール部(青色山印)をカムの山の一番高いところに乗せてキャップ(緑色マル印)のクリアランスを見ます。少なくても広すぎても火の飛びは良くありません。シクネスゲージを接点(緑色マル印)の間差し込み0.40~0.50mmの適正クリアランスに合わせれば終了です。汚れや焼けによりギャップの接点不良が起きている場合はポイントを交換するか、もしくは300番程度の紙ヤスリを折り合わせて接点が均等に接触するようにこすります。ブレーキクリーナー等で汚れを落として復活する場合もあります。ポイント不良やコンデンサー不良で部品を交換する時には必ずポイントギャップを確認しましょう。点火不良の場合、バッテリーの電圧不足、スパークプラグ不良、コンデンサー自体のパンク、コイル不良、等も考えられますので良くならない場合はそれらを点検してください。

コンデンサー交換
コンデンサーは長さ4cm直径1.5mm程度の筒型をしていてポイントに繋ぐ配線が1本有ります。交換方法はコンデンサーを支えるブラケットに付いているスクリュー1点で固定されている為、そのスクリューを外します。ポイント側へ電極が1本伸びてますのでそれを引き抜きます。これで取り外し完了です。取付はこの逆で配線がポイントカバーを閉めたとき干渉しないよう配線をポイント外側へ取り回して取り付けして下さい。配線は手で押し込むだけです。ポイントギャップクリアランスを再度確認して終了です。ドライバー1本で行えますので是非覚えておきましょう。

 

パン等ジェネレーターケースのデスビ(ポイント)

ジェネレーターケースの場合、ポイントはフロントシリンダーの右側で上向きにデスビとして付いています。ガバナのシャフト(ポイント中央にあるシャフト)の回転がショベルのオルタネーターとは逆回転の時計回りとなる為。タイミング調整もショベルとは逆回転となります。その他 ギャップクリアランス等は同様です。

オートアドバンスユニット (フル/セミトランジスタ式イグニッション)

トランジスター式イグニッションの場合は、正常に動作している限り通常メンテナンスは必要有りません。コンデンサー式のポイント点火と比べるとアイドリングや点火タイミングは正確です。またポイントのギャップ調整の様に手動で行うメンテナンスがありません。